大田区★おひとりさま
来たれ部員!「蒲田銭湯部」(大田黒湯温泉 第二日の出湯)
2011年3月11日 金曜日
黒湯と露天風呂が人気
黒湯と露天風呂が人気
 西蒲田6丁目、相生小学校のほど近くにある「大田黒湯温泉 第二日の出湯」。創業80年あまり、黒湯天然温泉と、月の前半は女湯、後半は男湯で、庭を愛でながらの露天風呂が楽しめる、地元に愛されてきた銭湯。
 2010年8月から、この「第二日の出湯」を拠点に繰り広げられている試みがある。その名も「蒲田銭湯部」
天井がつながっているのはバドミントンのため?!
天井がつながっているのはバドミントンのため?!
 「男湯と女湯の間はなぜつながっているか、みなさんわかりますか?…バドミントンをやるためです!」と、おもむろにラケットとシャトルを取りだした「部長」こと田村祐一さん。弱冠30歳にして日の出湯を支える4代目だ。この日は地元をはじめ、遠く荒川や葛飾、埼玉からも銭湯を愛する「部員」たちが集結。脱衣所の壁を境にバドミントンに興じ、みんなで汗を流した後は、一番風呂を堪能。風呂上がりには、牛乳やビールを飲み、おかずをつまみながら、ブレーンストーミング「銭湯部レスト」が始まる。番台は「部長バー」と化し、部長自ら腕をふるったオリジナルドリンクがふるまわれた。参加費1,010(=銭湯)円、どこまでいってもシャレがきいている。「部員」たちは楽しみながらも本気で、この「部活動」、そして銭湯に向き合っているのだ。
 この「蒲田銭湯部」は、「『銭湯って実はアツイ!』をキーワードに、銭湯で楽しいことをしよう」と田村さんが簡易ブログ「twitter」会員制交流サイト「Facebook」を活用して「部員」を呼びかけたのがきっかけ。第1回目は「番頭さん擬似体験」と題し、タワシを使って昔ながらの風呂掃除を体験。自ら磨きあげた一番風呂に入れば喜びはひとしお。初対面も多い中、風呂上がりの「部レスト」では多いに会話も弾んだという。
銭湯部「部長」「マネージャー」を務める田村さんご夫妻
銭湯部「部長」「マネージャー」を務める田村さんご夫妻
 「銭湯部レスト」で盛り上がったアイデアを次々に実現するのが銭湯部スタイル。第2回は銭湯の壁画に富士山がよく描かれるのは「富士山から流れた霊験あらたかな水が湯船に流れている」ためとする、銭湯に造詣の深い、庶民文化探究家・町田忍さんの解釈をヒントに、「富士山からの流しそうめん」を体験。その後も、薪で風呂を沸かしながら、その熱で焼きいもを作ったり、足湯をしながらおでんを味わったり、正月にはもちをついたり。自由な発想で銭湯の可能性を次々と引き出している。
その様子はすでにNHK首都圏ニュースなど各メディアでも取り上げられ、話題となっている。しかし田村さんは、「イベントはあくまで盛り上げる手段のひとつ。大事なのは、今『お風呂だけ』の機能になってしまっている銭湯に『地域コミュニティ』をまた新たに作り出すこと」といたって冷静。実に週1軒ものペースで都内から消えているという銭湯の行く末を案ずる。今回の「銭湯部レスト」でも、「銭湯離れ」が続く状況について「生活の場にある銭湯。スーパー銭湯とは客層もニーズも違い競合しているわけではない」「銭湯には会話するのを楽しみに来ている人も多い」「今の子育て世代に、銭湯に連れて行ってもらって楽しかった経験がないからでは」などの見解が参加者から挙がり、「10年先を見すえて」20代や親子連れに利用してもらうためのアイデアが次々と語られた。
 全国に地名を冠した「『○○銭湯部』が立ち上がって、大切な文化である銭湯の魅力がひとりでも多くのかたに伝わればいい」と田村さん。今後も「部活動」を通じて、外国人の銭湯体験、ロビーを活用しての講座など、実現してみたいアイデアはたくさんある。
 しかしあくまで「ゆるく」「楽しく」が銭湯部のモットー。なるほど、銭湯はくつろぐためにあるのだ。
 穏やかで心身がぽかぽか温まる黒湯のように、「蒲田銭湯部」の志はいつまでも冷めそうにない。


大田黒湯温泉 第二日の出湯
東京都大田区西蒲田6-5-17
03-3731-7761
15:00-24:30
水曜定休
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