大田区★おひとりさま
桜の下の約束(テンダリー)
2009年3月25日 水曜日
雰囲気のある店内
雰囲気のある店内
 JR大森駅東口から5分、商店街と住宅街とを結ぶ大森北グリーンベルト。夜になると、ポッと幻想的に浮かび上がる1軒の店がある。
 バー・テンダリー。ドアを開ければ「お待ちしてました」の声。女性のバーテンダーが腕を振るったカクテルが振舞われる、甘く穏やかなひととき。料理専門スタッフによる本格メニューでお腹も満たされる。
宮崎優子さん。そのきりりとした仕事ぶり
宮崎優子さん。そのきりりとした仕事ぶり
「貴重なお金と時間を割いて、この店を選んでくださったお客様と、長い年月と手間をかけて生まれるお酒を裏切らないように努めたい」と話す、オーナーでバーテンダーの宮崎優子さん。数々のコンクール受賞歴を誇る腕前を持ちながら、この真摯な態度と、奥ゆかしさ。客が絶えない理由がわかる。
 受賞作品のひとつ、「艶女(アデージョ)」(¥1,300)をいただいた。ショートカクテルながら、さっぱりと芳醇で飲み飽きない味。りんごやざくろ、カシスのリキュールを使って着物の帯締めの赤を表現したという。トッピングされた金粉とあいまって、「和」を思わせる逸品だ。
カクテル「艶女(アデージョ)」
カクテル「艶女(アデージョ)」
 この「艶女」にはモチーフとなった女性がいるという。品川大井海岸の芸者置屋「まつ乃家」の女将・まりこさん。今やマンションが立ち並ぶ京急大森海岸駅の周辺は、かつては料亭が軒を連ねる一大花柳界だった。その伝統と文化を残そうと、気軽に楽しめるイベントを次々企画し話題となっている。
 2007年に行われた、NPO法人CCS(カクテル・コミュニケーション・ソサエティー)主催のパーティー。「カクテルアーティスト」が新作を発表し、来場者の投票でその腕を競う。アトラクションにはその「まつ乃家」芸者衆による踊りが予定され、準備を重ねていた矢先、まりこさんが病に倒れた。見舞いに出向いた宮崎さんは「まりこ姐さんをイメージしたカクテルで必ずグランプリをとるから、姐さんも頑張って」と誓ったという。そのカクテルこそ「艶女」。見事宮崎さんは「CCSアーティスト・オブ・アーティスツ」グランプリを受賞し、まりこさんも退院。翌年にはお座敷へ復帰した。
「大森さくらフェスティバル」のチラシ
「大森さくらフェスティバル」のチラシ
 今年4月5日には、店を臨む大森北グリーンベルトで、「大森さくらフェスティバル」を企画した。「まつ乃家」をはじめ、地元のお囃子や獅子舞のステージ。その演舞や桜を眺めながら、近隣のバーが腕を振るった本格カクテル、大森ならではの海苔や銘菓が当日全品500円で楽しめる、まさに宴の席だ。子ども向けに竹馬やベーゴマなど昔の遊びや、ノンアルコールカクテル作りやその味が体験できるコーナーもあり、家族連れでも楽しめる。
 この企画も「満開の桜の下で踊ってみたい」まりこさんの夢に応えてのもの。宮崎さんにも残る、このまちの花柳界の記憶。まりこさんの「奮闘している姿に打たれた」宮崎さんが、周辺でバーを営む仲間に声をかけ、チラシのデザインや広報など「その道のプロフェッショナルが集う」お客様の協力で実現に至った。「和の文化に触れながら、最近急増したマンション住民と、昔から住んでいる人たちの交流の場になればいい」。
 店内は、春は桜を愛でながらお酒が楽しめるロケーション。11年前の開店当日も、満開の桜だったという。「いつも桜が守ってくれているような気がする」と宮崎さん。今年の春も、ふたりの約束が果たせるよう見守ってくれているに違いない。
大森さくらフェスティバル
日時:2009年4月5日(日)12:30‐16:00
会場:大森北グリーンベルト
前売チケット:1,000円(ご飲食引換券3枚つき)
※テンダリー他協力11店舗のバーと、たばこ店「シエン」で発売中
主催:大森さくらフェスティバル実行委員会
問い合わせは下記参照
大田区★おひとりさま24
Bar Tenderly(テンダリー)
大田区大森北1-33-11-2F
TEL 03-3298-2155
営業時間 19:00‐26:30L.O.(日祝19:00‐24:30L.O.)
休日 火曜
チャージ カウンター席¥1,000
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