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みんなにやさしいエスカレータ
2009年8月12日 水曜日
キャンペーンの告知ポスター
キャンペーンの告知ポスター
 改修工事を終え、2009年7月26日には東口、同年8月1日には西口で再びエスカレータが利用できるようになり、いっそう便利になったJR蒲田駅。しかしその「便利」は本当に必要としているひとにも行き届いているだろうか、と警鐘を鳴らすひとたちがいる。

 改修工事終了にさきがけ、7月20日16時から、JR蒲田駅前の西口広場で、「エスカレータは歩かないで二人乗り」キャンペーンがおこなわれた。
 「ひとにやさしいまちづくりを進める大田区民の会」の代表・宮澤勇さんの呼び掛けに賛同する市民・団体が集い、駅前を通るひとたちにエスカレータでのマナー向上を呼びかけた。
 最近ではどの駅でもよく見かけるようになったエスカレータだが、もともとは2000年に制定された「交通バリアフリー法(高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律)」によって、設置が義務付けられるようになったもの。つまりは、高齢者や身体が不自由なひとの利便をはかるために設置されたものなのだ。
「手すりにつかまって」と呼びかける代表の宮澤勇さん
「手すりにつかまって」と呼びかける代表の宮澤勇さん
 しかし現状では、先を急ぎ歩くひとのために常に片側をあける「暗黙のルール」が「マナー」として定着していることに、宮澤さんは警鐘を鳴らす。「メーカーとしても、歩行が故障につながるのに加えて、片側に過重な負担がかかるのは危ないといっている」(*1)。東京ビックサイトでの、定員超過により突然上りエスカレータが逆走した事故は記憶に新しいところ。
 鉄道各社でも「事故防止のため、突然に停止した際のために、エスカレータ内では手すりを持って下さい」とアナウンスしたり、先ごろJRでも「『つかまる』という安心」という事故防止ポスターを掲示するようになるなど、歩行禁止を呼びかける動きが高まっている。
 イベントでは、障害者や親子連れ、市民団体のメンバー、区職員や交通事業者、議員など、それぞれの立場からの体験談やこのキャンペーンにかける思いが発表された。
MCを務めた仁井山征弘さんが書き下ろしの「エスカレータのうた」を披露
MCを務めた仁井山征弘さんが書き下ろしの「エスカレータのうた」を披露
「エスカレータは私たちにとって、なくてはならない道具だ」と訴える肢体障害者。病気で「左半身に麻痺が残り、左手では手すりを持てないので、右側に乗っていたら、走ってきた人に怒鳴られた。舌打ちされることもあり、気分がいいものではない」と体験を語った。
 視覚障害者からは「耳や感覚でしか判断できない私たちは、駆け上ってくる音に恐怖感を覚える。目の代わりである白杖を蹴飛ばされることもしばしば」の声も。
 「子どもの手を離すと危ないので、並んで乗りたい」という親子連れ。「急ぐときは階段を使うようにしよう」「エスカレータでは歩かないようにする新しいマナーを大田区から発信しよう」と次々と声が上がった。
 そのほかイベントでは、蒲田女子高校チアリーディング部・SHINES(シャインズ)のみなさんによる演舞や、大田区出身のラッパー・仁井山征弘さんが、この日のために書き下ろした「エスカレータのうた」を披露し、花を添えた。
蒲田駅前西口広場に、趣旨に賛同した多くの人が集まった
蒲田駅前西口広場に、趣旨に賛同した多くの人が集まった
 同会は、障害者や高齢者、子育て世代などにとって、まちに多く残るバリアをなくそうと2002年に発足。これまでも行政への提言や、公共施設のバリアフリー点検などを積極的におこなっている。今後は1年間賛同者を増やしながら、都内各駅でキャンペーンを行い、エスカレータを歩かないマナーを広げていくと予定だという。同会では、一緒にチラシ配りなどをしてくれる協力者を募集中だ。
 上手に使ってこその、便利な道具。みんなにとって心地よいエスカレータにするための工夫の余地は、まだまだ私たちの心に残されている。
お問い合わせ
ひとにやさしいまちづくりを進める大田区民の会
*1 社団法人日本エレベータ協会のウェブサイトにはエスカレータ利用上の注意が掲載されている
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