cOnTAct!
くらしが照らし出すもの
2009年5月14日 木曜日
 毎週第2木曜日は「cOnTAct!(コンタクト)」と題し、「大田区とふれる・つながる・かよいあう」をコンセプトに、大田区にまつわる地域情報をご紹介します。
昭和のくらし博物館
昭和のくらし博物館
 南久が原の住宅街の一角にたたずむ「昭和のくらし博物館」。生活史の研究者である長女・小泉和子さんが、1951(昭和26)年に政府の住宅政策である住宅金融公庫の融資を受けて建てられた「公庫住宅」である実家を丸ごと資料として残し、「最も残りにくい」戦後の「なんでもない、一番身近な庶民のくらし」から昭和という時代を考えようと、1999年2月28日に開館したもの。年間来場者は約4,000人を誇り、今年で開館10周年を迎えた。
 その記念イベント「昭和のくらし博物館10周年記念会」が4月25日に大田区民プラザ小ホールで行われた。
手仕事を丹念に追う記録映画の上映
手仕事を丹念に追う記録映画の上映
 第1部では博物館の10年のあゆみを映像を交えて紹介。続けて館のファンクラブである「友の会」が中心となって毎年行われている「夏まつり」で、館の庭で行われる「幻燈会」のなかから好評だった「夢のはとバスツアー」が再演された。昭和30年代当時の制服を着た、元・はとバスガイドである鶴岡節子さんの語りで、建設中の東京タワー、都電にトロリーバス、浅草・松屋デパートに銀座・日劇と、昭和30年代の「車窓」から見える景色を「遊覧」。「くものすカルテット」による「私の青空」の生演奏が花を添えた。
 小泉和子館長が挨拶で「東京は人材の豊富なところであることを実感した。10年間、こうして支えてくださったみなさんがいることが大事」と語った理由がよくわかる、心温まるステージだった。
膨大な研究が博物館の理念を支える
膨大な研究が博物館の理念を支える
 第2部では、小泉館長の母である、小泉スズさんの家事仕事を記録した映画「家事の記録」が初公開された。道具を集めても、使い方がわからないと本当の意味での記録にはならない――自身が研究者として痛感していた「失われつつある家事労働」を記録したいという想いは、長らく岩波記録映画を手がけた時枝俊江さんとの共同作業で実現に至った。
 映画は「主演女優」である1910(明治43)年生まれのスズさんの、「着物をほどく」「洗い張り」「布団を縫う」「おはぎ作り」家事仕事を丹念に追う。糸を頭に滑らせて滑りを良くする。糸くずを集める。小豆を煮るのにガスの火から七輪の火に移しかえる。七輪の残り火にやかんをかける。2時間あまりの長編だったが、ひとつとして無駄のない手の動きに会場全体が見入っていた。
 「昭和のくらし博物館」に今日も人が絶えないのは、「懐かしい」「昭和レトロ」の収集に終わらない、研究に裏打ちされた展示や講座企画の厚みと、「友の会」をはじめとしたコミュニケーションの中で行われている運営そのものが、失われつつある「昭和のくらし」を自ら体現しているからなのだろう。
 「昭和30年代ブーム」はいつかは過ぎても、変わらない信念が今後10年も、その先も、博物館を支えていくに違いない。
昭和のくらし博物館
大田区南久が原2-26-19
03-3750-1808
開館日:毎週水曜から日曜10:00‐17:00
休館日:月・火曜 9月上旬に館内整理日
入館料:大人500円、高校生以下300円
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