コラム「伸顕が斬る!」
福田興次さんにたむける水俣レポート Part3
2011年10月11日 火曜日

公益財団法人大田区産業振興協会

専務理事 山田 伸顯

6.エコタウンの推進 --- その1 ガラスびんのリユース
田中商店ガラスびん洗浄工程
田中商店ガラスびん洗浄工程
 ガラスびん回収でリユースを推進しているのが株式会社田中商店である。同社は、本社が熊本市にあるが、水俣で活動している環境NGOとの関わりから分別収集されるびんを扱うようになり、エコタウンの中に工場を立ち上げることになった。
 リユースするびんは、主として焼酎の空きびんである。ワインやウィスキーのびんは土木用の骨材としてリサイクルし、一部のびんはガラス工芸品として加工し、再生利用する。売り上げの95%はリユースである。
 各地から集荷されたびんは、まずリユースできるものと破砕するものとに分別する。
 リユースしないびんは、ガラス破砕装置により砕かれ、粒度選別装置でガラスカレットが用途に合わせて選別され、さらに細かくするものは粉体化装置でパウダー状態にまで粉砕する。ある程度の大きさにとどめるものは、「スーパーソル」という、急傾斜地の盛土や、暗渠排水資材・無機質土壌改良材・浄化資材などとして広い範囲で使用される新素材に生まれ変わる。
 リユース用のびんの洗浄は、自動の工程で行っている。ラインに搭載されると、抜栓機でふたとキャップを取り、口錆取機という装置でビンの口に付いた錆びを取り、洗浄剥離装置により苛性ソーダによる処理を行ってラベルをはがし、熱湯洗浄する。
 次に検査工程に移行するが、ここでは人間の目視による検査を行っている。ラインを流れるびんをバックライトで照らしながら、洗浄の汚れやびんの傷をチェックする。底部は、照明を当てながらミラーに映しだすことによって割れ・ひび・汚れ等の状況を検査する。洗浄検査機を使用しないのは、非常に細かいキズにも反応してしまい、不良率が高まり過ぎて使用可能なびんまではじいてしまうからである。
 
 厚みのないびんで補強のためコーティングしてあるものは再使用に適さない。田中商店は、平成15・16年度の「循環型社会形成実証事業」として環境省から補助金をもらい、R(リユース)びんの出荷と回収用ケースのレンタル事業を始めた。「南九州における900ml茶びんの統一リユースシステムモデル事業」である。南九州の清酒・焼酎メーカーの6割が使い捨て茶びんを使っていたのを、Rびんに変えることで、廃棄物処理費用の削減になり、それを回収費用として充てることで採算が見込める。小売店が消費者からRびんを買い上げ、びん商に販売し、洗浄後メーカーに納品するという流れが出来上がったのです。自治体にとっても、収集・運搬・処理の負担が軽減されます。びんのリユースによりメーカーも容器代が削減でき、回収もダンボールでなく、繰り返し再使用できるレンタルケースを使う。
 かつては清酒のびんは焼酎や醤油、油のびんとして再利用されていたが、近年ではビールびんや牛乳びんでしか行われていない。飲料のペットボトル化が進み、利便性は高まったが環境負荷も大きくなった。ペットボトルは、熱湯処理や化学処理を施す洗浄ができないため、衛生面からリユースに適さない。そのためリサイクルに回されるが、リサイクルによりペレット化して同じようなペットボトルを作るにせよ、服などの繊維を作るにせよ、いずれも大きなエネルギーを要する。ヨーロッパではリユースできるリターナブルびんが出回っている。ワンウェイ容器(使い捨て)からリターナブル容器(再利用)へ、これまでと逆の流れが大きくなることが地球環境の負荷軽減に寄与できる。
 このRびんのリユースが全国に波及することにより、日本の環境問題への取組みが大いに進展することを期待したい。

田中商店ガラスびん検査
田中商店ガラスびん検査
その2 家電リサイクル
リサイクルで回収された資源
リサイクルで回収された資源
「水俣エコタウンプラン」は、環境関連の研究開発を行う「みなまた環境テクノセンター」を核とする水俣産業団地において、地域で排出された廃棄物の地域企業によるリサイクル事業等を促進し、環境リサイクル関連産業の集積を目的とした「総合リサイクルセンター(生活支援工房)」を整備するものである(経済産業省)。
 エコタウンを推進する産業団地には、使用済オイルリサイクル施設、し尿等を原料とした肥料製造施設、使用済タイヤリサイクル施設、廃プラスチック複合再生樹脂リサイクル施設、建設廃材・アスファルトのリサイクル合板製造施設が設置され、さらに先述したびんのリユース・リサイクル施設と家電リサイクル施設が立地している。
 家電リサイクルを担っているのは、アクトビーリサイクリング株式会社である。同社は、DOWAホールディングス株式会社(旧同和鉱業株式会社)傘下のDOWAエコシステム株式会社のグループ企業として、平成11年(1999年)設立、平成13年(2001年)に操業を開始した。福岡県、大分県を除く九州各県を対象エリアとして、日立、シャープ、三菱、三洋、ソニー、富士通を中心とする「Bグループ」の企業群の製品解体、資源回収回収を行っている。処理実績は05年に39万台であったが07年には35万台に落ちている。従業員数は約80名。社名の「アクトビー」の由来は、ゴミの意味がある「芥」に「火」が加わることで浄化するという「芥火(あくたび)」を英語のAct-Bにかけた造成語であり、A面B面という表裏に、動脈(製造、サービス)と静脈(廃棄物)とう産業構造の表裏をかけ合わせている(会社案内より)。
 工場面積は4,876平方メートルで、その中でエアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、そして電子機器に解体ラインが分かれている。先ず、殆どの製品は、プラスチック製及び鉄製のカバー類を手作業で外す。次に、冷蔵庫やエアコンは、コンプレッサーの中に油と一緒に含まれている冷媒フロンを専用の機械で回収する。冷蔵庫については、本体周りにある発砲ウレタンから断熱材フロンを回収するため、大型破砕機で一度粉砕する。前処理工程から分別回収されたプラスチックは、専用の破砕機で破砕する。テレビのブラウン管は、パネルとファンネルに分割され、ファンネルについてはカーボンや酸化鉄等の分別、パネルについては、蛍光体等除去した後、カレット洗浄機により洗浄し資源回収を行う。コンプレッサーの解体作業では、シェル(外殻)とコイルを切断し銅の回収などを行う。
 手作業により細かい選別を行っているが、機械でなければ解体不能なものは破砕機にかけ、磁力による選別、風力振動による選別を行い、ピッキング工程で再度選別する。ハーネス(電線)や混合プラスチックなどを細部にわたるまで選別し回収を行うことで、可能な限り有価物として市場に供給できるまでの状態にもっていく。
 北九州市のエコタウンにも家電リサイクル工場があるが、アクトビーリサイクリング社はそこに勝るとも劣らないレベルで精密度の高い解体選別を行い、リサイクルの限界に挑戦しようという意欲を感じた。02年にはISO14001の認証を取得し、環境保全に対する企業自らの積極的な取り組み姿勢を示している。同社のリサイクル率(マテリアルリサイクルされる有価資源の総重量に対する割合)は、4種の家電で法定リサイクル率をはるかに上回る87%以上となっている。しかし、国内のリサイクルが家電リサイクル法の趣旨に沿って正常に機能していないのではないかという危惧を抱いている。同社が受け入れている処理量が逓減しているのは、回収されるべき家電品が海外に流れたりしてリサイクルのルートから逸脱している可能性もある。
 グループ企業をまとめるDOWAエコシステム株式会社は、同和鉱業発祥の秋田県小坂にあるエコシステム小坂株式会社(旧称:小坂製錬株式会社リサイクル部KSR課)を保有し、技術の蓄積を生かしてグループ各社がリサイクル回収した金属の製錬に携わっている。DOWAエコシステム社のような資源回収技術を発揮して、自動車や家電のリサイクルが徹底されるならば、国内における資源の回収が一層進むことになり、資源小国日本の弱点を補うことができる。

リサイクルライン
リサイクルライン
 
7.まとめ
 今回は、「みなまた環境テクノセンター」の視察を行っていないので、エコタウンの中核を担う産学連携や地域連携の事業展開を深く認識することはできなかった。しかし、水俣が過去の辛い歴史を踏まえ、公害問題を正面から見据えながら、環境問題に対処し将来のまちづくりに前進する姿を見ることができた。この水俣の取り組みは、日本の向かうべき道を示していると思われる。燃える人の会は、今後も持続的関わりをもって水俣の動向を見守りとともに、水俣をモデルとして日本と世界の環境問題改善のために提言していくことが必要であることを強く感じた。

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